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相続廃除の効果、手続、注意点を解説

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当ページでは、相続廃除の効果、手続、注意点を解説します。

筆者プロフィール

榊原 沙奈さかきばら さな(90′) / 榊原行政書士事務所 代表行政書士 / 3級FP技能士 / やぎ座のO型 / 趣味は写真を撮ること、神社をめぐること

相続廃除とは

相続廃除とは、法定相続人が被相続人に対し、虐待 もしくは 重大な侮辱、その他著しい非行が認められる場合に、被相続人が申立てることにより相続人から除外する制度です(民法 第892条)

相続廃除の効果

相続廃除となった場合、当該相続人は、被相続人の死亡時に遡り、相続権を失います。

通常、一部の法定相続人には「遺留分」が認められますが、相続廃除となった場合、遺留分も失います。

ただし、相続廃除となった相続人に子がいる場合、代襲相続は可能です。

相続廃除と相続欠格の違い

相続欠格とは、一定の欠格事由に該当する相続人について、法律上当然に相続権を失わせる制度をいいます(民法 第891条)

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相続廃除の要件

相続廃除を行うには、下記のいずれかを満たす必要があります。

1.被相続人に対する虐待

虐待とは、被相続人に対する肉体的な加害行為のほか、精神的に耐え難い苦痛を与える行為まで含みます。

具体的には、下記の行為が考えられます。

  • 日常的に暴力を振るう
  • 日常的に罵詈雑言を浴びせる
  • 弱っている被相続人に劣悪な環境を強いる
  • 介護等が必要な状態にもかかわらず、放置しているなど

2.被相続人に対する重大な侮辱

重大な侮辱とは、被相続人を対象とし、被相続人の名誉・感情を害する行為を指します。

具体的には、下記が考えられます。

  • 公衆の面前で被相続人を罵倒する
  • 不特定 かつ 多数の人が知り得る状態で被相続人の悪口を発信する など

3.著しい非行

著しい非行とは、虐待、重大な侮辱には該当しないものの、これらと同様に、相続人の遺留分を否定することが妥当だといえる程度の非行を指します。

具体的には、下記が該当すると考えられます。

  • 被相続人への加害行為により、服役している
  • 被相続人の財産を自身のために浪費 または 無断で処分
  • 不貞行為におよんだ
  • 長期間の音信不通 または 行方不明 など

相続廃除の手続

相続廃除の手続は、下記のいずれかにより行います。

  1. 生前、被相続人自身が家庭裁判所に請求する
  2. 死後、遺言に基づき、遺言執行者が家庭裁判所に請求する

(1)申立て先

相続廃除の申立は、被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所です。

(2)相続廃除の対象者

相続廃除の対象となるのは、遺留分をもつ推定相続人です。

具体的には、配偶者、子または孫等の直系卑属、父母または祖父母等の直系尊属がこれにあたります。

兄弟姉妹も法定相続人に含まれますが、遺留分は定められていないため、対象外となります。

法律上は「遺留分をもつ推定相続人」が対象となっているため、子が親について相続廃除の手続を行うことはできない点に注意しましょう。

(3)必要書類

相続廃除を申立てる際、下記の書類が必要です。

  1. 推定相続人廃除の申立書
  2. 申立人の戸籍謄本(全部事項証明書)
  3. 推定相続人の戸籍謄本(全部事項証明書)
  4. 遺言書の写し または 検認調書謄本の写し(遺言廃除の場合)
  5. 収入印紙 800円
  6. 連絡用の郵便切手

必要書類は事案ごとに異なりますので、申立て先となる家庭裁判所まで、事前にご確認ください。

相続廃除確定後の手続

家庭裁判所による審判確定後、相続人廃除の届出を行います。

(1)届出先

相続廃除の届出は、下記のいずれかに行います。

  1. 推定相続人の本籍地
  2. 届出人の住所地
  3. 届出人の所在地

(2)届出人

届出は、生前の場合は被相続人、死後の場合は遺言執行者が行います。

(3)届出の期限

相続廃除の届出は、審判確定後10日以内に行う必要があります。

(4)必要書類

相続廃除の届出には、下記の書類が必要です。

  1. 推定相続人廃除届
  2. 審判書の謄本と確定証明書
  3. 届出人の印鑑

上記の他に追加書類を求められる場合もありますので、事前に確認しましょう。

相続廃除を取消す方法

相続廃除の届出後、廃除を取消す場合、家庭裁判所に「相続廃除の取消し」を請求することになります。

ここで取消しが認められれば、廃除された推定相続人には相続分、遺留分ともに認められることになります。

相続廃除の注意点

相続廃除を行う際、下記に注意しましょう。

1.代襲相続は有効

相続廃除が認められた場合、対象となる推定相続人に相続分は認められません。

しかし、当該相続人に子がいる場合、代襲相続の対象となります。

相続時、代襲相続者が未成年の場合、相続廃除となった推定相続人の手に遺産が渡る可能性があります。

「ならば、代襲相続者についても相続廃除を行えばいいじゃないか」と考えるかもしれませんが、推定相続人同様、相続廃除の要件を満たす必要があり、一般的には認められません。

2.遺言による遺贈も可能

遺贈とは、遺言により遺産を相続させる制度をいいます。

遺贈の対象は、相続人に限られないため、相続廃除となった推定相続人が受贈者に指定されていれば、遺産を承継することになります。

3.遺言執行者の指定

遺言により廃除を行う場合、遺言執行者の指定が不可欠です。

遺言執行者には、遺言内容を確実に遂行してくれる人を選ぶと安心です。

相続廃除も併せて相談する場合、弁護士が適任だと思われます。

相続廃除の効果、手続、注意点まとめ

当ページでは、相続廃除の効果、手続、注意点を解説しました。

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カテゴリー: 相続・相続税


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