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当ページでは、法人成りに最適なタイミングを検討する際のポイント、注意点を解説します。
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筆者プロフィール
榊原 沙奈(90′)/榊原行政書士事務所 代表行政書士
やぎ座のO型。趣味は写真を撮ること、神社をめぐること。
法人成りとは
個人事業主として一定の実績を積み、法人化することを「法人成り」と呼びます。
起業時に法人形態を選択する場合、「法人成り」と呼ぶことはほとんどありません。
法人成りの時期を検討する場合、下記のポイントを抑えましょう。
- 消費税
- 社会保険
- 損益状況
- 取引関連
1.消費税
原則、売上が1,000万円を超える場合、その翌々年度から消費税課税事業者となります。
このルールは、個人・法人に関係なく適用されますが、個人事業において課税事業者となる場合、当該売上年度の翌年に法人化することで、更に2年間は消費税の納税義務が免除されることになります。
個人事業として開業したのが年の途中だった場合、開業から当該年度末までの売上が1,000万円を超えなければ、3年目も免税事業者となります。
2.社会保険
個人事業の場合、常時雇用する従業員が5人未満なら、社会保険等への加入は「任意」です。
社会保険への加入は、従業員にとってのメリットが大きい反面、事業主の負担が大きくなるため、事業拡大により従業員を増やす場合には、法人化と併せて加入を検討することも多いです。
法人の場合、法人形態・従業員の雇用実態に関わらず加入義務を負います。
3.経営状況
個人事業の場合、所得税の課税対象となります。
所得税の課税率は5%から45%のうち、課税所得によって変動します。
いっぽう、法人に課税される法人税・地方法人税の課税率は、15%から36%程度で推移します。
このことから、課税所得が一定を超える場合には、個人事業主より法人として負担する方が、総合的に税負担が軽い場合があります。
一般的な目安として、課税所得額800万円程度が法人化を検討する基準とされます。
4.取引関係
事業を展開する上で、公共事業を視野に入れる場合、個人より法人の方が有利な場合があります。
対外的な信用力は、資金調達や人事採用等の局面で影響することもあるため、今後の事業計画に沿ったタイミングでの法人成りを検討しましょう。
法人成りを行う際の注意点
法人成りを検討する場合、次の点に注意しましょう。
- 設立時、運営に関し、手間と費用がかかる
- 社会保険への加入義務が生じる
- 赤字でも税金の納付義務を負う
1.設立時、運営に関し、手間と費用がかかる
1-1.設立
法人の設立には、一定の手間と費用がかかります。
選択する法人形態により、必要な手続・費用は異なりますが、一般的には次の費用を要します。
- 認証手数料、登録免許税等の法定費用
- 各種証明書発行手数料
- 印鑑(社判)の作成・登録費用
- 弁護士、税理士等への相談、依頼費用など
1-2.運営
法人の場合、選ぶ法人形態や設置機関により必要な手続は異なります。
株式会社の場合、年度ごとに株主総会を開催する必要があるほか、取締役会等の開催義務を負う場合もあります。
2.社会保険への加入義務が生じる
個人事業の場合、雇用する従業員数が4人までなら加入義務は生じないものの(労働保険への加入義務は生じる場合があります)、法人は、従業員数に関わらず、社会保険への加入義務が課せられます。
社会保険料は労使折半であり、個人事業の間に加入していない場合には、新たに負担する必要があります。
更に、社会保険関連の手続は専門知識が必要で、従業員等の申請内容に変更が生じる都度、必要な手続を行わなければなりません。
社労士に依頼する方法もありますが、この場合、顧問料が発生します。
3.赤字でも税金の納付義務を負う
個人事業の場合、課税所得が一定未満の場合、非課税となることがあります。
法人の場合、売上がマイナス(赤字)の場合でも、均等割による法人住民税の納付義務を負います。
個人事業に比べ、経費算入できる支出が多いのも法人の特徴です。
法人成りに最適な時期、注意点まとめ
当ページでは、法人成りに最適な時期を検討する際のポイント、注意点を解説しました。