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当ページでは、永住許可の要件、注意点を解説します。
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永住許可とは
永住許可とは、外国人の本籍地を母国に置いたまま、何の制限も受けず、日本に住み続ける権利を取得することをいいます。
永住許可取得のメリット
永住許可を取得すると、次のメリットがあります。
- 自身の母国籍は維持できる
- 在留に関する制限がなくなる
- 配偶者等の永住権取得に有利な場合がある
永住許可を取得すると、活動や在留期間に制限がなくなるため、更新手続等が不要となります。
また、配偶者や子がいる場合、彼らの在留資格にも影響することがあります。
「帰化」の場合、母国籍を失い、日本国籍を取得しますが、永住権の場合、母国籍を維持し、外国人として住み続けることができる点が大きく異なります。
永住許可の要件
永住許可申請を行うには、下記の要件を満たす必要があります。
- 素行が善良であること
- 独立の生計を営むに足りる資産または技能があること
- 申請者の永住が日本の利益になると認められること
(a)原則、引き続き10年以上在留していること
(b)罰金刑、懲役刑等を受けていないこと+公的義務を適正に履行していること
(c)現在の在留資格につき、最長の在留期間であること
(d)公衆衛生上の観点から、有害となるおそれがないこと
1.素行が善良であること
素行が善良であることとは、日本国内の法令等に違反していないことを指します。
具体的には、懲役、禁錮、罰金、拘留、科料等が科されていないことをいいますが、万が一、該当する場合でも、下記の期間を経過した場合は「素行が善良」と認められます。
懲役、禁錮の場合 | 出所後10年を経過している場合 執行猶予の場合、期間満了から5年を経過している場合 |
罰金、拘留、科料の場合 | 刑の執行を終わり、5年を経過している場合 |
1-1.交通違反等も対象になる
上記の違反を行っていない場合でも、日常生活や社会生活において、違法または風紀を乱す行為を行っている場合は、永住許可を取得することはできません。
交通違反による反則金の納付、本人や家族等が在留資格の範囲外の活動を行っている場合等がこれにあたります。
2.独立の生計を営むに足りる資産または技能があること
永住許可を申請するには、独立の生計を営めるだけの資産、技能があることが大前提となります。
「独立の生計を営むに足りる」とは、生活保護等の公的な補助を受けなくとも生活できるレベルを指し、具体的には、申請前5年間の世帯収入が300万円以上であることが求められます。
ただし、世帯に含まれる人数により、必要年収が上下する場合があります。
そもそもですが、上記の年収も「目安」でしかなく、明確な規定があるわけではないため、前提条件ごとに変動する点に注意しましょう。
3.申請者の永住が日本の利益になると認められること
永住許可の申請について、申請者が日本に永住することが日本に利益をもたらすかがポイントとなります。
具体的には、下記について審査されます。
- 原則、引き続き10年以上在留し、5年以上働いていること
- 公的義務を適正に履行していること
- 在留資格につき、最長の在留期間であること
- 公衆衛生上の観点から有害となるおそれがないこと
3-1.原則、引き続き10年以上在留し、5年以上働いていること
永住許可申請について、申請者の在留状況からみて、将来にわたり日本で過ごすことを認めることが適当か否かをはかる要件です。
「引き続き」とは、原則、在留資格の切れ目なく日本に在留したことを求めるものですが、年間100日以上日本から出国していたからといって、在留期間がリセットされるわけではありません。
また、「5年以上働いている」とは、就労資格を前提とした労働を指し、原則、就労が認められない在留資格で勤労していた期間はカウントされません。
3-2.公的義務を適正に履行していること
公的義務とは、所得税、住民税、法人税等の納付義務、厚生年金、国民年金等の年金等につき、納付期限内に納付していることをいいます。
税金や年金の未納はもちろん、納付期限を守っていない場合、永住許可申請は認められない点に注意しましょう。
国民年金に加入していない場合、国民年金への加入手続き後、未納部分を支払った上で、5年間の加入実績が求められます。
3-3.在留資格につき、最長の在留期間であること
現在、申請者がもっている在留資格には「5年」「3年」「1年」と区分されていますが、このうち、最も長い在留期間を許可されていることが求められます。
ただし、3年でも許可を取得できた事例もあるため、必ずしも5年以上を求められるわけではないようです。
3-4.公衆衛生上の観点から有害となるおそれがないこと
永住許可申請を行う場合、大麻、麻薬、覚醒剤等の使用歴がないこと、ペスト等の感染症に罹患していない、または、罹患の恐れがないことが求められます。
身元保証人がいること
永住許可申請を行う場合、身元保証人が必要です。
身元保証人には、「滞在費」「帰国費用」「法令遵守」を保障する必要がありますが、法令上の義務ではありません。
ただし、保証対象となる外国人が問題を起こした際、上記の義務を果たさなかった保証人は、今後、外国人の永住許可申請において身元保証人になることができません。
永住条件が緩和される場合
下記に該当する場合、一部の要件が緩和される可能性があります。
- 日本人、永住者(特別永住者)の配偶者、子
- 定住者
- 高度専門職で3年前から70点以上のポイントをもつ場合
- 高度専門職で1年前から80点以上のポイントをもつ場合
参照:永住許可に関するガイドライン(令和5年(2023年)12月1日改訂版)
永住許可申請の審査期間
永住許可申請の審査期間は、4か月から10か月程度です。
永住許可の要件、注意点まとめ
当ページでは、永住許可の要件と注意点を解説しました。