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当ページでは、レンタカー業に必要な許可の要件、手続、注意点を解説します。
Contents
筆者プロフィール
榊原 沙奈(90′)
榊原行政書士事務所 代表行政書士
やぎ座のO型。趣味は写真を撮ること、神社をめぐること。
レンタカー業とは
レンタカー業は、法律上「自家用自動車有償貸渡業」といい、個人・法人を問わず始めることができますが、いずれの場合も「自家用自動車有償貸渡業の許可」を取得する必要があります。
レンタカー業をはじめるメリット
(1)個人の場合
個人でレンタカー業を始める場合、下記のメリットがあります。
- 煩雑な手続が不要
- 青色申告により最大65万円まで控除が受けられる
(2)法人の場合
- 社会的な信用を得やすい
- 融資審査で有利な場合がある
- 経費算入できる支出が多い
レンタカー業をはじめる際の注意点
(1)個人の場合
個人でレンタカー業をはじめる場合、下記に注意しましょう。
- 法人成りする場合、許可を承継することができない
個人事業として、順調に成績をのばした場合、多くの人は事業拡大のために「法人成り」を検討します。
この際、個人で取得した許可をそのまま承継することはできないため、法人として新たに許可を取得する必要がある点に注意しましょう。
(2)法人の場合
法人でレンタカー業をはじめる場合、下記に注意しましょう。
- 手続が煩雑
個人で開業する場合に比べ、法人の場合は手続が煩雑です。
こうした手続を専門家に依頼することも考えられますが、この場合、手数料の他に依頼料(報酬)が発生することに注意しましょう。
レンタカー業に必要な許可
有料で自動車を貸し出す「レンタカー業」をはじめるには、自家用自動車有償貸渡業許可を取得する必要があります。
レンタカー業許可の要件
レンタカー業許可を取得するには、下記の要件を満たす必要があります。
- 人
- もの
- お金
1.人の要件
自家用自動車有償貸渡業申請を行う申請者は、下記に該当しないことを求められます。
- 1年以上の懲役または禁固刑に処され、その執行が終わってから2年を経過しない人
- 一般旅客自動車運送事業、特定旅客自動車運送事業、一般科目自動車運送事業、特定科目自動車運送業、自家用自動車有償貸渡業許可の取消しを受け、2年を経過しない人
- 2の事業に関し、取消しの処分に係る通知があった日から処分日までの期間に、事業または貸渡業の廃止届出をした場合、その日から2年を経過しない人
- 未成年者または成年被後見人等が申請する場合、法定代理人が上記に該当する場合
- 申請者が法人の場合、役員が上記に該当する場合
- 申請者およびその役員が、申請日前2年間において、自動車運送事業経営類似行為により処分を受けていないこと
上記6について、
法人の場合、許可申請日前2年以内に、自家用自動車有償貸渡業業の無許可営業を行い、処分を受けていないことを求めるものです。
1-1.配置要件
自家用自動車有償貸渡業許可を行うには、下記の人を配置する必要があります。
- 事務所責任者
- 整備管理者または整備責任者
事務所責任者に資格要件はありませんが、整備管理者または整備責任者については、事業所に置く車両数により、適宜配置する必要があります。
整備管理者 | 整備責任者 | |
---|---|---|
資格要件 | 次のいずれかに該当すること (1)整備管理等に関し、2年以上の実務経験があり、整備管理者選任前研修を受講していること (2)3級以上の自動車整備士技能検定に合格していること (3)その他、国土交通大臣が告示で定める基準以上の技能があること | 特になし |
配置する車両数 | (1)乗車定員11人以上のバスを1両以上使用 (2)乗車定員10人以下で車輌総重量8t以下の大型トラック等を5両以上使用 (3)乗車定員10人以下で車両総重量8t未満の乗用・トラック等を10両以上使用 | 左記未満の車両数 |
上表の条件に1つでも該当する場合、対応する整備関係者を選任する必要があることに注意しましょう。
整備管理士、整備責任者は兼任可能です。
2.ものの要件
自家用自動車有償貸渡業許可を取得するには、事務所または営業所のほか、車両を保管できる車庫を備える必要があります。
このほか、レンタカーとして貸渡すことができる車種が、下記通り定められています。
- 自家用乗用車
- 自家用トラック
- 自家用マイクロバス(定員11人以上29人以下、車両長7m以下)
- 特殊用途自動車
- 二輪車
2-1.マイクロバスは実績経験も必要
マイクロバスを取扱う場合、下記の要件を満たす必要があります。
- 捕獲分の車種でレンタカー業を2年以上行っていること
- 届出前の2年間において、車両停止以上の処分を受けていないこと
2-2.駐車場要件
駐車場、車庫の位置は、事務所または営業所から直線距離で2km以内でなければなりません。
取扱う自動車は、1箇所にすべて保管する必要はなく、分散することも可能です。
申請時点で駐車場が完備されていることは求められませんが、営業開始時点で駐車場が準備できなければ違法として、許可を取消される可能性があります。
2-3.整備管理者の必要数
下記の車両を取扱う場合、整備管理者を選任しなければなりません。
車輌区分 | 台数 |
---|---|
バス等(乗車定員11人以上) | 1台以上 |
大型トラック等(車輌総重量8t以上) | 5台以上 |
その他 | 10台以上 |
3.お金の要件
自家用自動車有償貸渡業許可を取得するには、貸し出す車両について、自動車保険への加入義務が定められています。
- 対人保険:1人につき8000万円以上
- 対物保険:1件につき200万円以上
- 搭乗者保険:1人につき月500万円以上
上記はあくまでも最低条件なので、実際の事故に備え、適切な契約内容を検討しましょう。
レンタカー業許可取得までの流れ
下記に、レンタカー業許可申請から事業開始までの一般的な流れを紹介します。
- 提出書類の作成
- 申請
- 自家用自動車有償貸渡業許可取得
- 車両登録
1.提出書類の作成
1-1.必要な書類
自家用自動車有償貸渡業業に関する要件を満たしたら、下記の書類を予定営業所を管轄する運輸支局に提出します。
- 自家用自動車有償貸渡業許可申請書(PFD)
- 貸渡料金表
- 貸渡約款
- 個人事業主の住民票(個人の場合)
- 履歴維持高全部証明書(法人の場合)
- 宣誓書
- 事業所別車種別配置車両数一覧表
- 貸渡の実施系各区
2.申請
申請先は、予定営業所の所在地を管轄する運輸支局です。
3.自家用自動車有償貸渡業許可取得
申請から許可が下りるまでの期間は、約1か月です。
申請書類に不備がある場合等は、補正指導が行われる場合もあるため、早めに準備しましょう。
許可が下りると、運輸支局から許可証が交付されます。
「登録免許税納付書」をもって、金融機関等で登録免許税(90000円)を納付します。
この時に発行される領収書を運支局に提出することで、許可取得の手続が完了となります。
許可証は再交付してもらえないため、大事に保管しましょう。
3-1.許可の有効期限
レンタカー業許可には、有効期限がありません。
ただし、取扱う車両台数の増減、整備管理士・整備責任者等に変更が生じた場合には届出を行いましょう。
4.車両登録
自家用自動車有償貸渡業許可を取得後、レンタカーとして使用する車両を登録します。
登録先は、営業地を管轄する検査登録事務所で、運輸支局から交付される「事業用自動車等連絡書」を提出して行います。
車両登録の際は、下記の書類が必要です。
- 登録申請書
- レンタカー事業者証または事業用自動車連絡書
- 車検証の写し
- 手数料納付書
- 自動車税・自動車取得税申告書
- 車庫証明書など
事案により、必要な書類が異なる場合があるため、事前に確認しましょう。
許可取得後の報告義務
レンタカー業許可に更新手続は不要ですが、毎年4月1日から5月31日までの期間に、下記の書類を提出する必要があります。
- 貸渡実績報告書
- 事務所別車種別配置車両数一覧表
これらの提出先は、主たる事務所の所在地を管轄する運輸支局です。
事務所別車種別配置車両数一覧表は、
(1)6月30日
(2)9月30日
(3)12月31日
(4)3月31日
の4期分を1枚ずつ作成しますが、前年度4期分を5月31日までの期間にまとめて提出して構いません。
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