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筆者プロフィール
榊原 沙奈(90′)
榊原行政書士事務所 代表行政書士
やぎ座のO型。趣味は写真を撮ること、神社をめぐること。
相続欠格とは
相続欠格とは、法定相続人が特定要件に該当する場合、その相続人が持つ「相続する権利」を失わせる制度をいいます。
相続欠格となった相続人を「相続欠格者」と呼び、遺産分割協議に参加できないだけでなく、相続自体認められません。
相続欠格になる場合
下記に該当する場合、相続欠格となります。
- 故意に、被相続人(死亡人)または、自分より先順位・同順位にある相続人を死亡させ、刑に処せられた人
- 被相続人が殺害されたことを知りながら、告発または告訴しなかった人
- 詐欺・強迫により、被相続人が遺言し、撤回、取消し、変更する事を妨げた人
- 詐欺・強迫により、被相続人に遺言させ、撤回、取消し、変更させた人
- 相続人に関する被相続人の遺言書を偽造、変造、破棄、隠匿した人
いずれも相続に関し、大きな影響を及ぼす非行・不正行為に該当することがわかります。
相続欠格の効果
相続欠格に該当する場合、その相続人について、当然に相続する権利を失います。
当然にというのは、裁判等の手続を要さず、遺留分さえ認められないことを指します。
戸籍上、「相続欠格」の事由が表記されるわけではないため、相続登記等において、「相続欠格証明書」を求められる点には注意しましょう。
相続欠格者に子がいる場合、親に代わり子が相続できる場合があります。
相続廃除との違い
相続欠格と似ている制度として、「相続廃除」があります。
相続廃除は、被相続人が自らの意思で、推定相続人の相続権を剥奪する制度です。
相続廃除の要件
下記の要件を満たす場合、被相続人は相続廃除の手続を行う事ができます。
- 虐待
- 重大な侮辱
- 著しい非行
相続廃除の効果
被相続人の生前、家庭裁判所の審判手続が確定した場合、その時点で相続人の資格喪失となります。
いっぽう、遺言書で相続人廃除の意思表示をした場合、家庭裁判所の審判手続が確定したときから相続開始に遡り、相続人はその資格を失います。
この場合も、排除された相続人に子がいる場合、相続が認められる場合があります。
相続欠格の注意点
相続欠格者以外の相続人は、下記の影響が予想されます。
欠格者と交渉が必要
相続欠格者であることを本人が認めている場合、「相続欠格証明書」の作成をします。
相続欠格の効果は当然に発生するものの、戸籍書類に「相続欠格」と表記されるわけではなく、相続手続を進めるうえで、必ず用意しなくてはなりません。
相続欠格証明書は、欠格者自らで作成し、印鑑登録証明書を添付する必要があります。
万が一、相続欠格者本人が認めない場合、裁判で争うことになります。
訴訟に発展した場合、判決が確定するまで相続手続を行うことができません。
相続税の控除額減少
相続税について、法定相続人1人につき「600万円(生命保険等は500万円)」の基礎控除額が認められています。
相続欠格に該当する場合、はじめから相続人ではないものとして扱われるため、基礎控除額が減少する点に注意しましょう。
相続人が欠格者のみの場合
相続人が相続欠格者1人だった場合、相続人が皆無となります。
この場合、相続欠格者は「特別縁故者」として、相続財産の全部または一部を取得できる可能性があります。
特別縁故者の判断に血縁関係は問われないため、原則、相続人として認められない内縁者、認知外の子等が認められる場合があります。
相続欠格の効果、手続、注意点まとめ
当ページでは、相続欠格の効果、手続、注意点を解説しました。