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当ページでは、法人の設立時、会社形態を選ぶ際のポイントと注意点を解説します。
Contents
筆者プロフィール
榊原 沙奈(90′)
榊原行政書士事務所 代表行政書士
やぎ座のO型。趣味は写真を撮ること、神社をめぐること。
法人形態とは
法人形態とは、法律で定められる企業・組織の形式を指します。
一般的な法人形態は、次の4種類に分けられます。
- 株式会社
- 合同会社
- 一般社団法人/一般財団法人
- NPO法人
1.株式会社
株式会社は、出資者の出資金額に応じた株式・決定権を与える法人形態です。
実際に法人を運営するのは取締役等ですが、経営陣だけでなく出資者の意思を反映するため、一定の制約が課されることになります。
ただし、非上場にすることで、こぢんまり運営することも可能です。
2.合同会社
合同会社とは、2016年(平成28年)に施行された法律により導入された法人形態で、出資・運営を同じ組織が行うことができます。
そのため、株式会社と比べると意思決定速度がはやく、設立時のコスト等も抑えられる特徴があります。
3.一般社団法人/一般財団法人
一般社団法人、一般財団法人は、いずれも非営利組織です。
非営利組織とは、売上を立てる事業を行ってはいけないという意味ではなく、利益を役員等に分配することができないことを指すため、株式会社や合同会社と同様にビジネスを行うことができます。
一般社団法人・一般財団法人は、
(1)目的と活動領域
(2)資産の運用方法
(3)適応される法律
の点で異なります。
4.NPO法人(特定非営利活動法人)
NPO法人とは、営利を目的とせず、公益活動を目的として設立される法人形態です。
設立に際し、行政官庁にて認証手続を受ける必要があり、設立後においても、毎年行政官庁への報告義務が課されます。
比較時のポイント
法人の設立に際し、法人形態をを比較する場合、次のポイントをおさえましょう。
1.設立費用
法人の設立には、少なからず費用がかかります。
上記4形態それぞれの設立費用は、下記の通りです。
株式会社 | 合同会社 | 一般社団法人 一般財団法人 | NPO法人 | |
---|---|---|---|---|
設立費用 | 18万円~ | 6万円~ | 11万円~ | ほぼ0円 |
初期費用を抑えたい場合、合同会社等の持分会社がオススメですが、初期コストだけで選ぶと、後から余分な費用と手間がかかることもあります。
NPO法人の0円は異次元ですが、上記の中では最も手間と時間がかかり、運用も硬直的なため、公益目的での設立でない限り、オススメいたしかねます。
2.経営に関する意思決定方法
法人形態を選ぶ場合、実際に経営をしていくうえで必要な「意思決定」の方法に注意しましょう。
株式会社では、出資者と経営者とが完全に分離していることから、重要な事柄を決定するには、必ず出資者である株主の意見を聴く必要があります。
いっぽう、他の法人形態では、出資者と経営者が同一の場合が多く、意思決定までの時間と手間がかかりません。
これだけでなく、意思決定の場に参加できる権利を持つのは、経営に直接携わるチームメンバーに限られるため、第三者の介入が好ましくない事業等で株式会社を選ぶのは不適切な場合が多いです。
ただ、大規模な事業展開を検討するなら、株式会社は圧倒的にチャンスが多いので、自社の展望とすり合わせましょう。
3.資金調達の方法
事業を運営する際、資金調達の方法も法人形態により異なります。
株式会社は株式を発行することで資金調達ができますが、他の法人形態の場合、金融機関等からの融資、国・地方自治体等の補助金・助成金による調達が大部分を占めます。
より大きく、広い事業展開を目指す場合、株式会社が適切かと思われます。
4.出資者が負う責任の範囲
法人には、必ず出資者の存在があります。
出資者のうち、無限責任社員となった場合、法人が解散(倒産)した場合の債務を返済する義務を負うことがあります。
対して、有限責任社員の場合、出資した財産が返ってくることはないものの、それ以上、責任を問われることはありません。
当ページで紹介している株式会社、合同会社、一般社団法人・一般財団法人、NPO法人は原則、有限責任社員となりますが、合資会社・合名会社の場合、無限責任社員で構成されるため、理事等を務める場合は気を付けましょう。
会社設立の注意点
法人を設立する際、下記の点に注意しましょう。
1.資本金額により取扱いが異なる
法人を設立する際、資本金額を決定します。
資本金は、最低0円から設定することができますが、補助金・助成金等の申請を検討している場合はもちろん、設立後に法人口座を開設する際、信用してもらえない場合もあります。
反対に、高額な資本金額を設定すれば、対外的な信用度は向上しますが、税負担が重くなる場合があります。
管轄の税務署または税理士に相談すると、受けられる優遇措置等を教えてくれますので、設立前にご相談ください。
2.近隣の法人名に注意
法人を設立するには、法務局にて設立登記を行う必要があります。
この際、同じ管轄内に設立しようとする法人と同じ業種、かつ、同一または類似する商号の企業がある場合、設立後にトラブルに発展する可能性があります。
具体的には、相手からの差止請求、損害が発生した場合は損害賠償請求等もあり得るため、事前調査を行いましょう。
商号によるトラブルといえば、こちらは悪意がなくとも、お客様が勘違いし、何らかの損害を与えたような場合が考えられます。
3.決算月の決定は余裕をもって
個人事業の場合、1月1日から12月31日までの1年間を事業年度としますが、法人の場合、自分達で決算月を決定することができます。
決算月には、棚卸等を行わなければならず、決算後、2か月以内に法人税等の申告書作成、提出業務が待っています。
このため、これらの業務を行う余裕がある月度を決算月とするのがオススメです。
法人の場合、原則、下記のいずれかに掲載する方法で、決算公告を行う義務を負います。
(1)官報
(2)日刊新聞
(3)電子公告
全ての法人がこの義務を負うわけではありませんが、違反した場合には一定のペナルティが課されますので、必ず確認しましょう。
4.社会保険料の加入義務
個人事業の場合、一定要件に満たない限り、社会保険の加入は任意ですが、法人の場合、従業員数に関わらず、社会保険(労働保険含む)の加入義務を負います。
社会保険料率は変動しますが、この先、軽減される可能性は低く、使用する従業員数が多いほど負担率は高くなることに注意しましょう。
設立時、法人形態を選ぶ際のポイントと注意点まとめ
当ページでは、法人形態を選ぶ際のポイントと注意点を解説しました。