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筆者プロフィール
榊原 沙奈(90′)
榊原行政書士事務所 代表行政書士
やぎ座のO型。趣味は写真を撮ること、神社をめぐること。
死亡事故の流れ
交通事故により死亡した場合、捜査機関による検視が行われます。
1.検視
検視とは、警察官、検視官等の捜査機関が実施する遺体と周辺状況の調査をいいます。
具体的には「検視、検案、解剖」の3つをまとめて検視と呼びますが、法律上定義されている言葉ではありません。
検視中、遺体は捜査機関が安置することとなりますが、終了すると連絡が入り、「死体検案書」と併せて遺体を引き取ります。
2.死亡後の手続
遺体を引き取った後、葬儀の準備をはじめとする下記の手続を進めます。
- 死体検案書の提出
- 通夜・告別式の準備
- 世帯主の変更届
- 所得税準確定申告と納税
- 年金受給者の場合、受給停止手続
- 介護保険対象者の場合、介護保険資格喪失届の提出
- 公共料金の利用停止または名義変更
- 該当する保険に加入している場合、保険請求
加害者が葬儀に参列し、香典を渡される場合がありますが、これらが示談交渉に影響を及ぼすことはありません。
死亡事故後 相続手続の流れ
死亡事故による相続手続の流れは、次の通りです。
1.遺言書の確認
被相続人(死亡人)の遺言を確認します。
遺言書がある場合、「自筆証書遺言」「公正証書遺言」のどちらに該当するか、また、発見場所により必要な手続は異なります。
2.相続人・相続財産の特定
遺言書がない場合、遺産分割協議を行う必要があります。
遺産分割協議に参加できるのは、原則、法定相続人のうち最先の順位者のみです。
※被相続人に配偶者がいる場合、配偶者は常に相続人となる
- 子(養子を含む)または孫
- 父母または祖父母等の直系尊属
- 兄弟姉妹または甥・姪
相続人の特定と併せ、分割対象となる相続財産を調査します。
相続財産となるのは、被相続人の財産すべてで、プラスに限らずマイナスの資産(負債等)まで含みます。
3.遺産分割協議
特定した相続人全員で、対象となる遺産につき、誰が、何を、どのくらい相続するのかを話し合います。
うまく話し合いがまとまれば「遺産分割協議書」を作成し、必要な手続を行いますが、まとまらない場合には調停または審判等で争うことになります。
4.各種手続
遺産分割協議で決定した通り、金融機関、不動産登記、相続税申告等の手続を進め、全ての手続が完了したときが、相続手続の完了時です。
死亡事故に対する賠償請求手続
死亡事故の場合、損害賠償の請求権が発生します。
本来は被害者である被相続人本人が行使できる権利ですが、死亡と同時に、相続人の相続対象となります。
請求者
配偶者、子または孫、父母または祖父母等の直系尊属等が請求することが可能です。
相続人と同様の範囲ですね。
請求できる賠償金の種類
交通事故の加害者に請求できる賠償金の内訳は、次のものが考えられます。
- 治療関係費
- 葬儀関係費
- 休業損害
- 逸失利益
- 死亡慰謝料(本人、遺族)
このうち、算定が難しいのが「逸失利益」「死亡慰謝料」です。
賠償金を算定する際に用いる基準は、(1)保険会社の基準、(2)裁判所の基準、(3)弁護士の基準の3種類に分けられます。
このうち、最も高額となるのは(3)弁護士の基準で、適切な賠償金を受け取れる可能性が高いといえます。
加入する保険会社により、弁護士特約(保険会社が弁護士費用を一定の範囲内で負担してくれる)を利用できる場合もありますので、確認しましょう。
死亡事故による相続手続の注意点
1.時効
損害賠償を請求する権利には期限があります。
死亡事故の場合、死亡日の翌日から5年以内(自賠責保険の場合は3年)が経つと請求できません。
そのため、賠償請求に必要な示談交渉は早めに行う必要があります。
2.示談
交通事故に遭った場合、事故対応について、加害者が加入する保険会社との交渉が一般的です。
このとき、保険会社が提示する賠償額が必ず適性とは限りません。
交通事故の後、早々に決着をつけようと示談を持ちかけられることがありますが、時効に気を付ければ、不必要に焦ることはないのでご安心ください。
死亡事故による相続手続と注意点まとめ
当ページでは、死亡事故による相続手続を解説しました。